敷金返還
はじめに
アパートを明け渡してしばらくすると、管理会社から「退去修繕費用」の見積りが届きます。
これらの費用は、入居時に預託してある「敷金」から差し引く事になります。
どのくらい戻ってくるのか期待していると、僅か数千円...。
下手すると敷金では足りずに、差額分を支払わされたりします。
驚いて管理会社に電話してみても「原状回復義務があるんですよ」等と言いくるめられ
そのまま諦めてしまうケースも多い様です。

いやいや、待って下さい。
ホントに、その見積りは正しいと思っていますか?契約書の内容は確認しましたか?
「どうせ返ってこない」「何年も前に払った金だからイイよ」と言う声も聞きますが
敷金は、一時的に預けてある(しかも無金利)だけで、決して支払ったものでは無いのです。

見積書の内容を鵜呑みにせず、本当に自分が負担すべき費用なのかを確認する必要があります。
主張すべき点は堂々と主張して、納得行くまで見積りを繰り返すべきです。
普通に生活していたのなら、敷金は必ず戻ってきます!!
#以下のサイトも参考に。

2001/03/24(土)
今日はアパートの明け渡し。
スーツの胸回りが余るほど細身の若い担当者は、人当たりも柔らかく温厚そうでした。
話し振りも落ち着いており、ある程度信頼の置ける人物であると判断しました。
駐車場への車庫入れで、焦りまくっていた様子からしても、悪い人ではなさそうです。

一緒に各部屋を見て回りながら「原状回復のガイドライン」や「通常使用による損耗」の
範囲を確認するなどして、それなりの牽制はしておきました。
もちろん「修繕」を超えた「リフォーム費用」は、一切払わないとも明言してあります。
実はウチのアパートは結露がひどく、 壁紙が浮いたり剥がれたりして困っていました。
住んでいる時には「敷金から引かれるなぁ」と心配していましたが、引越しで家具などを
運び出してみると、異常がある場所はコンクリートに壁紙を直貼りしている面だけでした。
こりゃ、どう考えても施工時のミス。と言うか設計上の不備ですな。
この点については担当者も、あっさり認めていました。

一通りの確認が終わると、担当者だけが部屋に残り細部まで確認するとの事。
見積書は後日、新居に郵送して頂けるとの事で、楽しみに待つ事にしました。

2001/03/29(木)
アパートの管理会社から「退去修繕見積」が届きました。

名称数量単位単価小計
室内清掃
14000040000
排水口薬剤散布
140004000
畳表替
6450027000
襖貼替普巾5280014000
障子貼替


0
クロス貼替DK  26u26u150039000

クロス貼替洋室1 26u13u150019500

クロス貼替洋室2 27u8u150012000
ジュウタン貼替
12u350042000

消費税5
9875
値引き

-12375-12375
合計


195000
敷金


195000
敷金返金分


0
各項目や金額からして話にならないのですが「値引きして敷金とチャラ」って、何でしょう?
まず「室内清掃」と「排水口薬剤散布」は、次の入居者のためのものであり
アタシ達には全く関係ありません。

建設省住宅局(当時)の「原状回復を巡るトラブルとガイドライン」によれば
「原状回復」とは、以下の様に定義されています。
「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、
 善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗を復旧すること」
つまり「借りた時の状態に戻す事ではない」事を明確にしています。
さらに、自然損耗・通常の使用による損耗等の修繕費用は賃貸人(大家)負担とされています。
また、契約年数が長いほど賃借人の負担割合を軽減するのが適当、とも言っています。
家賃には、通常使用による損耗の修繕費が含まれているのですから、当然の見解ですね。

とすれば、他の項目についても見直さねばならないでしょう。
壁紙については負担割合を考慮してある様ですが、とても充分ではありません。
コンクリートに直貼りすると言う、施工上の問題をどう捉えているのでしょうか。
畳とジュウタンについては特に汚してもいないのに、全てこちらに被せてきています。
もちろん、家具の設置跡は賃貸人(大家)側の負担のハズです。

因みに、アパートの契約書の特約事項には、以下の様に記されています。
「乙は退去に際し、タタミ・フスマ・天袋・ジュウタン・鍵・シャワーカーテンの交換、
配水管の清掃、カベクロスや床のクッションフロアーの汚損・損傷による清掃及び貼り替え、
その他の汚損・損傷箇所を自費をもって直さなければならない。」

こりゃまたエラく広範だけど曖昧な文面。
「通常使用による損耗」と「賃借人の負担割合」が、大きな争点になりそうです。

2001/03/30(金)
先日の見積内容について、担当者と電話で交渉。
アタシの主張は、主に以下の5点。
1)畳やクロスなど、汚損の程度に依らず全交換するのは「原状回復」の範囲を逸脱している。
2)「室内清掃」「排水口の薬剤散布」は、明らかに「リフォーム費用」である。
3)「ジュウタン貼替」の部屋は6畳(団地間)であり、その面積は9u前後のハズである。
4)賃借側(当方)と賃貸側(大家)との、費用負担割合が曖昧である。
5)「原状回復」と「通常使用による損耗」についての見解を聞きたい。

アタシの説明を黙って聞いていた担当者は、定石通りの回答をしてきました。
担:「契約書の特約事項に書いてあります」
ア:「過去の判例では、原状回復の範囲を逸脱する内容は無効とされていますよ」
担:「実は、見積に挙げていない項目もあるのですが」
ア:「では、その瑕疵そのものの認定と、過失割合についても争点にされますか?」
担:「え、と言うと?」
ア:「そこまで言うのであれば、公正な第三者機関に委ねるのが適当ではないかと...」
担:「そ、それはちょっと...」

先に挙げたサイトでは、少額訴訟にまで持ち込んだケースも多い様ですが、アタシとしては
そこまで事を荒立てたくないです。担当者もアタシの主張に一定の理解を示している事から
出来るだけ穏便に解決を図る方向で、双方の意見が一致しました。
と言うワケで、上記主張を踏まえた上での再見積りを提出して頂く事になりました。

2001/04/06(金)
再見積りが届きました。
前回の約束通り、賃借人と賃貸人の負担額を明示してくれてあります。

賃借人(当方)負担分賃貸人(大家)負担分

名称数量単位単価小計数量単位単価小計
室内清掃
1300003000011000010000
排水口薬剤散布
140004000

0
畳表替
6450027000

0
襖貼替普巾5280014000

0
障子貼替


0

0
クロス貼替DK  26u8.6u15001290017.4u150026100

クロス貼替洋室1 26u8.6u15001290017.4u150026100

クロス貼替洋室2 27u9u15001350018u150027000
ジュウタン貼替10.36u3.45u350012075
u35000

CF貼替12u
u350008.55u350029925

消費税5
63185
5956
合計


132693


125081
敷金


195000
敷金返金分


62307

クロスやジュウタンの負担割合を、1/3と見積もっている様ですね。
前回アタシが「例えばザックリ1/3くらいとか...」と言ったのを、そのまま採用したみたい。
#特に根拠も無く言っただけなのに、イイんでしょうか?

一生懸命さは良く伝わってくるのですが、「室内清掃」と「排気口薬剤散布」が残っています。
この費用は、他とは全く性格の異なるモノですので、金額の多少に依らず受け容れられません。
その他の畳と襖については、この条件でOKしてあげようかと思っています。
入居中は大家さんにも良くして頂いたし、あまりガチガチに担当者を攻めても可哀想です。
逆に開き直られたら何かと面倒なので、この辺りで追撃の手を緩める事にしようと思います。
#そう言えばジュウタンの賃貸分とCFの賃借分が不明ですが、管理会社の持ち出しか?

2001/04/08(日)
先日の見積内容について、担当者と電話で交渉。

これまでの誠意ある対応について謝意を示した後、改めて室内清掃と薬剤散布の件について
従前からの主張。すると突然「あの、薬剤散布の項目はゼロにして下さい」と来ました。
担当者も早期決着を望んでいるのか、手の内をさらすのが早いです。
この流れでアタシも「じゃ、室内清掃もゼロね」と言えばイイのに、ちょっと仏心が出ました。
「じゃ、室内清掃は1万だけウチで見ましょう」と、百万歩分の譲歩。

これには担当者も感激した様子で、すかさず電卓を叩き始めました。ん〜、甘かったか...(^^;
ジュウタンとCFの不明分の説明も忘れてしまっている様ですが、まぁ良しとしましょう。
と言うワケで、これが最終版の見積となる予定。


名称数量単位単価小計
室内清掃
11000010000
排水口薬剤散布


0
畳表替
6450027000
襖貼替普巾5280014000
障子貼替


0
クロス貼替DK 26u8.6u150012900

クロス貼替洋室1 26u8.6u150012900

クロス貼替洋室2 27u9u150013500
ジュウタン貼替10.36u3.45u350012075

消費税5
5118
合計


107493
敷金


195000
敷金返金分


87507

最終的には費用総額の半分ほどを負担する形になりました。
当初は返還金ゼロだったのですから、数学的には無限大の成果と言えます。
もっと負担割合を抑える事も可能でしたが、良好な人間関係を保ったままの決着を選択しました。
仮に裁判にまで持ち込んだとしても、そこまでの主張が認められたかどうかは疑問です。

以上が、アタシの場合の交渉経過です。多少なりとも皆さんの参考になったでしょうか。
#敷金返還分は、修繕の完了を待って振り込まれる予定です。

2001/06/08(金)
お陰さまで、無事に敷金返還分が振込まれていました。
振込手数料はこちら持ちとの事ですが、まぁそのくらいはイイでしょう。
では、皆さんも頑張って敷金を取り戻して下さい。



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